コンサルタント対談

現場とともに作るリアルなERP導入
ERP導入はシステムの更新ではなく、業務そのものを再構築するプロジェクト。リアルソフトが重視するのは、現場と経営をつなぐ対話です。
標準化の意義、カスタマイズの判断軸、データ移行やマネジメントのリアルまで、実践の現場で培った知見から、失敗しないERP導入のポイントを語ります。

Member

小宮山 雄士
ERPコンサルタント / マネージャー
2011年新卒でリアルソフト入社。

小林 賢也
ERPコンサルタント / 部長
2005年リアルソフト入社。

下村 和樹
ERPコンサルタント /執行役員
高知サテライトオフィス室長
2022年よりリアルソフト高知
サテライトオフィス室長として参画。
ERP導入時によく課題になることは?
お客様と同じ目線で業務の効率と本質を探る

ERP導入で最も多い課題は「業務を変えられないこと」ですね。
システム導入は本来、業務を標準化し効率化するためのものですが、実際には「今のやり方を変えたくない」という声が多く、進行の壁になります。

本当に“あるある”ですね。
導入側とお客様が「なぜ変えるのか」を共有できないと前に進みません。変革は“理解と納得”があってこそです。

現場が動かないと開発コストも膨らみます。経営陣は標準機能で進めたい、現場は現場仕様にしたい。このバランスをどう取るかが成功の鍵です。

現場の「変えたくない」気持ちは自然です。だからこそ一緒に整理し、「なぜ必要なのか」を理解してもらう。
実際に現場に入って、業務の効率や本質を一緒に考えるしかないんですよね。
要望が増える中で線引きをしながら、対話で乗り越えることが最も大事だと思います。

標準機能に合わせるFit to Standardのメリットとは?
会社がより成長するためのチャンス

世界的な標準に合わせる流れですよね。属人的なやり方を続けるより、グローバル標準に合わせる方が全拠点で同じ運用が可能です。特に海外拠点を持つ企業では、統一プロセスが大きな武器になります。

そうですね。業務の見直しを含めて、「標準化」は自社の業務を再点検するいい機会だと思います。「世界基準に合わせる」ことは、“自社の成長を見直すチャンス”でもあると思います。

僕が大事だと思うのは、属人化をなくすこと。「この人じゃないとできない」を残してしまうと、その人がいなくなったら止まってしまう。誰でもできる仕組みにしておく。それが会社を強くすると思っています。

ただ、それを押し付けるのはダメですよね。
標準で進めたい私たちの思いと、現場の気持ち。どちらも尊重して、一緒に最適解を探す。その“歩み寄りの姿勢”こそが、プロジェクトを成功させる鍵だと思います。

要件定義をしっかり行いつつ、効率的に開発を進める
マネジメントのポイントは?
初期段階の“聞く力”が、
プロジェクト成功のカギ。

どの案件でも大変なのは、やっぱり業務のヒアリングと認識合わせですね。
「お客様が思っていたこと」と「私たちが理解していたこと」の認識のズレ。特にIT部門の方とは意思疎通できていても、実際に使う現場の認識が抜けていて「運用できない」となるケースも過去にありました。だからこそ、初期段階で現場の利用者も巻き込むことを大切にしています。

製造・経理・営業、それぞれの意見を聞く中でぶつかることもあります。若い頃は熱くなりすぎて、相手も熱くなってきて、30分ぐらい説教されたことも(笑)。
でも、そのぶつかり合いの中で信頼関係ができた実感もありますけどね。
今は冷静に全体を俯瞰して判断するマネジメントを心がけています。

お客様に“言いにくいことを伝える”のも、私たちの役割だと思っています。何でも受け入れてしまうとプロジェクトが破綻します。だからこそ、信頼関係の上で本音で向き合うことが重要ですね。

そうそう。本気で向き合い、後に笑って話せる関係を築く。
リアルソフトは、そういう“信頼でぶつかれる”チームだと思ってます。

マネジメントで大変なこと
ERP導入では、カスタマイズに伴う
“現場のリアル”が課題になります。

マネジメントの難しさは、現場と経営層の間に立つことでしょうか。現場は「限界」、経営は「もっと早く・安く」と言います。この板挟みをどう解くかがプロジェクトを円滑に進める鍵かと。
私は、経営層のキーパーソンと関係を築き、現場への橋渡しをしてもらう“潤滑油的な存在”を大切にしています。

また開発ボリュームが大きいほど遅延リスクは増えることもマネジメントの大変なことの1つ。
遅れが出たら全社体制で立て直しをしますが、現在は60名以上の開発メンバーが在籍しているので柔軟にリソースを組み替えられるのが強みとなっています。

遅延については立て直しと同時に、原因を一つずつ分解して根本から解決することも大切ですね。
表面的なスケジュール調整では意味がなく、「どの工程で」「なぜ詰まったのか」を共に考え、プロジェクト全体の精度を上げることを意識しています。

標準機能以外の開発において大事なこと
「標準を活かし、必要な部分だけ加える」
それがリアルソフトの開発方針。

標準外開発で重要なのは、目的を明確にすること。何のために、どのタイミングで、どんなチェックを行うのかを整理することで、品質と効率が上がります。特別な技術より、基本の徹底が最も大切です。

私たちはなるべく標準機能を活かすようにしています。実績がある仕組みを使うことで、トラブルを防ぎ、品質も安定します。ただし、その使い方やエラーハンドリングは細かく詰める必要があります。

標準対応できない開発で多いのは、「月次処理」などの独自業務対応がありますね。

また「10cm・20cm・30cmの板」と長さの違う板を扱う製造業の場合、本来ならそれぞれを別の品目として管理する必要がありますが、現場では“同じ材料を切って使う”という発想です。そのような業務の考え方をどうシステムに落とし込むかが課題になります。他にも「10mのパイプを5m使う」というケースもありましたが、標準機能だけでは対応が難しく在庫や品目の考え方自体を拡張しました。
こういうところがまさに、現場と標準のすり合わせなんですよね。

「標準を無視して全部作り替える」のではなく、「標準を最大限活かして、必要な部分だけ加える」が大事だと思っています。
以前の案件では、海外・国内での業務ルールが異なるために、品目コードに“枝番”を追加し、国内外で共通名称のまま拠点区別を可能にする改修を行いました。全体のロジックを見直す大規模な変更でしたが、最終的に在庫を正しく統一管理する上で必要な改修でした。
私たちは技術力と現場理解の両立を誇りにしています。国内での実績・スピード・ノウハウ、どれを取っても自負できるものがあります。リアルソフトの開発メンバーは、日本一のSyteLine開発チームだと自負しています。

データ移行するポイントは?
成功の鍵は「段取り力」と
「協働」。

お客様にデータを準備いただくケースが多く、整備の遅れがボトルネックになりがちです。
任せきりではなく、一緒に進める協働体制が理想です。移行作業は、システムの問題というよりお客様とどう協力するかが大きいと感じています。

データ移行は計画が命。
「いつ・どのデータを・どう準備するか」を明確にしなければ、本番で混乱を招きます。進捗を管理しつつ、お客様任せにしすぎないことが大切です。
移行は最終工程ですが、一番大事な確認ポイントでもあると思います。

結局、成功を左右するのは技術より段取り力ですね。

最後に、これから導入を考える企業へのメッセージ
変化に寄り添い、共に歩む。
現場に根づく導入。

ERPは、入れた瞬間に完成するものではなく、あくまで“ツール”でありそれをどう使うかがすべてです。そして私たちの仕事はそのツールを通してお客様が最大限に力を発揮できるよう支えること。
リアルソフトの良さは、ドライじゃない寄り添い方だと思っています。僕らは“人と人として支える”ことを大事にして“あったかみ”のある導入をしています。ぜひご相談ください。

リアルソフトは、ずっと製造業に特化し長年支援してきました。
だからこそ、現場の苦労も、業務のクセも分かる。導入のときは負担がかかる場面もあります。でも、標準化を進めることで、企業の力は確実に上がります。それを僕らが全力で支えるので、安心してお任せください。

僕は、「今のシステムで同じことをやりたい」というご相談をよく受けます。
でも、それだと新しいシステムを入れる意味がないと思うんです。
導入の本質は“変わる”こと。業務を見直して、「本当に必要な仕組みは何か?」を見つけ出すことです。その見直しのプロセスは、決して楽じゃないですが、私たちはその道のりを一緒に走るパートナーでありたい。という思いで、今日も現場に立っています。
ぜひ一緒に頑張っていきましょう。

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